我が双肩に巣食う黒幕をあらゆる角度からあぶり出す、肩こりラスボス討伐シリーズもついに第4弾。
第1弾での水すらリバースした休日診療の絶望、第2弾でのあごと首の夜間密会(食いしばり)、第3弾での血糖値ジェットコースターによる深夜の緊急会議……と、回を追うごとに話がどんどん肩から遠ざかっていく当ブログ。
- 第1弾: 肩こりで吐き気が出る私が、原因を探しはじめた話
- 第2弾: 食いしばりと肩こりの、切っても切れないおあごの話
- 第3弾: 夜間低血糖の罠。寝ている間に戦っているあなたの体
- 第4弾: 浮き指って何。足元から見直す骨格大作戦(今ここ)
そして今回、話はついに物理的な限界を超え、我が肉体の最果ての地へとワープする。
今回のテーマは、「浮き指と肩こり」である。
浮き指。
そう、急に「足の指」の話なのだ。
肩こりの話をしていたはずなのに、今度は一番遠いつま先。領域展開が広大すぎて、もはや肩こりの管轄がどこなのか分からなくなってきた。
貼るやつではない方のカイロプラクティック(骨格をガタゴト調律してもらう方の施設)に10歳児の頃から通っていた私だが、そこで先生に足の指をロックオンされたときは、流石に脳内が「???」で埋め尽くされた。
「先生、私は肩が痛いと言っている。なぜ一番遠い足の指を診るのか」と。
距離感で言えば、ほぼ遠距離恋愛である。織姫と彦星ばりに離れている。
しかし、よくよく考えれば体はすべて地続きの一枚岩。足元がぐらつけば、そのしわ寄せが最上階の首や肩にバーストするという理屈は、今ならもの凄くよく分かるのだ。
手の指はブラック労働、足の指は「閑職」
そもそも「浮き指」とは、立っているときや歩いているときに、足の指がしっかり床につかず、フワフワと浮いてしまっている状態のことらしい。
名前そのままである。分かりやすいようで、地味にホラーだ。
ここで、我が家臣たる「指たち」の勤務実態を振り返ってみよう。
手の指に関しては、毎日労働基準法を完全にガン無視してデスマーチを繰り返している。スマホのフリック、PCのタイピング、毎日の家事、育児、そしてブログ執筆。文句も言わず24時間体制でフル稼働だ。
片や、足の指。
完全に「閑職」に追いやられていた。
存在はもちろん知っている。靴下を履くとき毎日見ている。
でも、彼らが普段どんな業務内容(ミッション)をこなしているのか、私はさっぱり知らなかったのだ。完全に名前だけの幽霊部員、あるいは窓際族である。
しかし調べてみると、この足の指で床をつかむ力(専門用語で「足趾把持力」と言うらしい)は、人間の立ち姿の安定感や歩行バランスの根幹を支える超重要部署だという研究(Tashiro Y. et al., 2015など)があるそうなのだ。
家で言えば、完全に「基礎(土台)」の部分。
つまり私は、基礎がぐらぐらに傾いている欠陥住宅なのに、土台を直さず、二階の窓(肩)だけを一生懸命揉んだり叩いたりして修理しようとしていたわけだ。そりゃあ根本解決するわけがない。
ボウリングの球を支えるブラック企業の社員(首・肩)
人間が立っているとき、足裏のどこに体重が乗っているかという情報は、リアルタイムで脳に送られて姿勢の微調整に使われているらしい(Vuillerme N. et al., 2008など)。
もし足の指がサボって「かかと重心」ばかりになっていると、体全体のバランスがピサの斜塔のごとく後ろに傾く。
だが、人間は前に進まねばならないし、前を向かなければならない。
そこで、最上階に鎮座する「ボウリングの球ほどの重さがある頭」を必死に前に引っ張ってバランスを取ろうとするのが、我が首と肩の筋肉たちなのだ。
ただでさえ、日中はスマホやPCのせいで頭が前に出がちなのに、土台(足元)まで不安定となれば、首肩の負担はもはやキャパオーバーである。
首肩「えっ、足の指がサボった分のケツ拭きまで、こっちの部署で残業して調整するんですか……?」
ブラック企業の過労死寸前社員ばりの悲鳴が聞こえてきそうだ。肩、本当にかわいそう。
もちろん、何回も言うけれど「肩こりの原因は全部足の指!」と断定するつもりはない。
姿勢、ストレス、食いしばり、自律神経、目の疲れ、冷え……もうお馴染みの容疑者たちが会議室に溢れかえっていて、完全にキャパシティが破産している状態なのだから。ただ、その大混雑する会議の参加者の中に「足の指」という地味な伏兵が混ざっていたのは、私にとって目からウロコだった。
新ジャンル:町内会のベテラン「タオルギャザー」
我が足の指を見てみると、本当にやる気がない。
手の指みたいに綺麗に「グー」をしようとしても、何だかモゾモゾと芋虫のように縮こまるだけで、ちっとも床を掴めないのだ。
お前、本当に私の指令を聞いてる?やる気ある?と言いたくなるレベルで動かない。
現代社会は、至る所がフラットな床だし、靴やスリッパで過保護に守られているから、足の指がサボりやすい環境なのだと思う。
そこで私が最近、生活の隙間にゆる〜く取り入れ始めた戦術がこれだ。
- 立っているとき、ふと「親指の付け根・小指の付け根・かかと」の3点を感じてみる
- 靴の中で、指が死んだ魚のようになっていないか生存確認する
- 「タオルギャザー」を気が向いたときにやる
タオルギャザーというのは、床に敷いたタオルを足の指の力だけでクシュクシュと手前にたぐり寄せる、昔ながらの地味なトレーニングだ。
これがね、本当に地味なのよ。もの凄く絵面が地味。
でも、日頃サボり散らかしている足指にとっては、意外なほどキツい。
例えるなら、町内会のベテラン役員みたいな存在である。
普段は存在感が薄くて、ちょっと口うるさくて地味なんだけど、年1回の地域の草刈り(いざという時)のときに、圧倒的なノウハウと存在感を出してきて「この人がいないと回らんわ……」ってなる、あの感じ。タオルギャザーはまさにそれである。
ただ、これを毎日血眼になってやろうとすると、脳内のタスク管理システムが破産するので、私は「電子レンジの解凍を待っている30秒」とか「ドライヤーで髪を乾かしている間」に、床の上でゆるっと指をグーパーさせる程度に留めている。足の指まで常時監視していたら、脳内のタスク管理が破産しますからね。
可愛い顔して足指を封印(サイレンス)してくる罠
足元の環境を良くしようと思うと、どうしても避けて通れないのが「靴」の問題だ。
私も一人の人間として、おしゃれで可愛いデザインの靴は大好きである。履きたい。
しかし現実は非情だ。世の中の「可愛い靴」の多くは、つま先がキュッと狭くなっていて、我が足指の労働環境を真っ向から破壊してくる。
かわいい顔して、足指の機能を完全に封印(サイレンス)してくるサディスティックな仕様なのだ。困る。
毎日完璧な健康コンフォートシューズで過ごすのは流石につまらないけれど、せめて「今日は大学院の通学で長く歩くから、足指がのびのび残業できるスニーカーにしよう」とか、「体調が怪しいから靴だけでも労ろう」という風に、使い分けのカードを持っておくのは現実的な防衛策だと思う。
肩こり対策なのに、最終的に靴選び。また話がとんでもなく遠くまで来た。
でも、体は本当につながっているのですよ。
まとめ:人体の配線が複雑すぎるので、説明書をください
肩を揉む。首を温める。
それも大事な応急処置だけれど、もしその原因が「つま先のストライキ」から始まっているとしたら、やっぱり全体を見直す視点が必要なのだ。
足の指、立ち方、骨格の歪み、自律神経、血糖値、食いしばり、そして肩こり。
人体、配線が複雑すぎて完全にスパゲッティコード状態である。神様、私にこの肉体の仕様書(取扱説明書)をください。
一発で全快する魔法はないけれど、
「あ、いま私かかとに乗りすぎて足の指が浮いてたわ」
と気づくだけでも、首や肩のデスマーチを少しだけ減らせるかもしれない。
足の指たちへ。今までずっと窓際族にして、存在を無視し続けてごめん。
これから少しずつ、労働環境(グーパー運動)を改善していくから、一緒に我が双肩の呪いを解いていこう。
それでは同志の皆様、今夜も寝る前はあごと足指の力を抜いて、ネコのように丸くなって休みましょう。
📚 今回の脳内参考データ
- Ryu J. W. et al. Toe Grip Strength Is Associated with Improving Gait Function in Patients with Subacute Stroke. 2024.
- Tashiro Y. et al. Children with flat feet have weaker toe grip strength than those having a normal arch. Journal of Physical Therapy Science, 2015.
- Vuillerme N. et al. Plantar pressure-based biofeedback and postural control under altered vestibular and neck proprioceptive conditions. 2008.
- Pinsault N. and Vuillerme N. Differential postural effects of plantar-flexor muscles fatigue under altered vestibular and neck somatosensory conditions. 2008.
⚠️ 最後のお約束
この記事は、私個人のドタバタ体験談と調べたデータをまとめたものです。特定の原因や治療法を100%断定するものではありません。
足や膝に強い痛みや変形、しびれがある場合、あるいは手足に力が入りにくい、めまいや激しい頭痛が伴うといった「これ肩こりの域を超えてない?」という異変がある場合は、自己流の足指体操で解決しようとせず、速やかに医療機関(整形外科等)を受診して専門医にご相談くださいね。


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