あらゆる角度から我が双肩の黒幕をあぶり出す、肩こりラスボス討伐シリーズ第5弾。
第1弾でのドクターの塩対応と水すらリバースした絶望、第2弾でのあごと首の夜間労働(食いしばり)、第3弾での血糖値ジェットコースター、第4弾での最果ての地(つま先)との遠距離恋愛……と、あらゆるジャンルの容疑者を召喚してきた当ブログ。
- 第1弾: 肩こりで吐き気が出る私が、原因を探しはじめた話
- 第2弾: 食いしばりと肩こりの、切っても切れないおあごの話
- 第3弾: 夜間低血糖の罠。寝ている間に戦っているあなたの体
- 第4弾: 浮き指って何。足元から見直す骨格大作戦
- 第5弾: 肩こりに生理食塩水の注射?整形外科でトリガーポイント注射を受けた話(今ここ)
そして今回、戦いの舞台はついに「医療の最前線」、すなわち整形外科へと移る。
今回のテーマは、「肩こりに生理食塩水の注射」である。
生理食塩水。
医療用語で格好よく言っているが、要するにアレである。「塩水」だ。
塩水。肩こりに、塩水。
最初にこの話を耳にした時、私の脳内には「?」が乱舞した。
いやいや、ガチガチに凝り固まった我が双肩に塩水を注入してどうするのだと。素材の下味冷凍か何かの儀式ですか?と、大いに疑ったわけである。
が、結論から言うと、本当にそういう治療が存在した。
私が受けたのは、いわゆる「トリガーポイント注射」や、エコーを見ながら行う「ハイドロリリース(筋膜リリース注射)」と呼ばれるアプローチだ。
今回は、私が整形外科のドアを叩き、肩に針を刺されるに至ったドタバタ体験談をお届けしたい。
「肩こりくらいで病院?」ではない。人生が止まってるんだ。
まず、私にとって最初の巨大な心理的ハードルは、「そもそも、ただの肩こりで整形外科に行っていいの?」という疑問だった。
世間一般のヘルシーな人類の皆様と同じく、私もかつては「肩こり=整体、マッサージ、ストレッチでなんとなく誤魔化すもの」と思い込んでいた。病院に行くなんて大げさ、先生に笑われるだけ、と我慢しがちだったのだ。
実際、過去に某病院のドクターから「はあ?肩こり??運動しなさいw」と、驚天動地の塩対応を喰らってメンタルに深い裂傷を負ったこともある。
しかし、何度も言うが、私レベルの精鋭ファイターになると、肩こりは普通に全生活システムを強制シャットダウンしてくる。ひどいと吐き気で水分すら受け付けず、日曜日に這うようにして休日診療へ滑り込む羽目になるのだ。
肩こりでタクシー。肩こりで休日診療。肩こりで脱水症状の一歩手前。
もう「ちょっとした不調」の枠を超えて、物理的に人生が止まっている。
だからこそ、今は声を大にして言いたい。吐き気や頭痛、あるいは腕のしびれを伴うような最凶レベルの肩こりなら、我慢せずに整形外科のドアをノックして全然いいのだ、と。
押されると「そこです!!!!(涙目)」となる聖域
半信半疑のまま、私がすがるような思いで駆け込んだ整形外科。
そこで提案されたのが、筋肉のなかに潜む「トリガーポイント」への注射だった。
トリガーポイントとは、ざっくり言うと「押されると痛みが周囲にドカンと響く、こりの親玉」みたいな場所だ。
肩こり民の皆様なら、マッサージでそこを押された瞬間、「そこです!!!!そこに全財産を賭けます!!!!」と脳内で絶叫したくなる聖域があるはずだ。あれである。
私の肩まわりは当時、完全に鉄板化していたため、ドクターはその親玉たちを狙って針を仕込んできた。
ここで正直に白状しよう。
初回は、普通にめちゃくちゃ痛かった。
「フフッ、ちょっとチクッとしますね〜」みたいな可愛いレベルではない。我が双肩がバキバキに凝り固まりすぎていたせいか、筋肉の奥深くに針が入る感覚はなかなかの恐怖映像(あるいはホラー体験)だった。肩こりを治しにきたのに、なぜ私は今、自ら進んで肩に針を刺されまくっているのかと、一瞬虚空を見つめた。
しかし、耐えた甲斐はあった。
注射が終わった直後、ガチチカにくっついて癒着していた細胞の間に、スッと未知のスペースができたような感覚が走ったのだ。
「あ、肩の組織の滑りが良くなって、腕がスムーズに回る……!」という感動。液体を注入して組織を解き放つ「ハイドロリリース」のイメージを、身をもって体感した瞬間だった。
肩こり界の絶対王者、あるいは「哀しき中間管理職」
今回の注射治療で、改めてスポットライトを浴びたのが「僧帽筋(そうぼうきん)」である。
首の後ろから肩、 shadow そして背中にかけて広大にそびえ立つ、肩こり界の絶対王者だ。私がいつも息絶えるのも、まさにこのエリア。
この僧帽筋、調べてみると本当に同情を禁じ得ない。
担当エリアが広すぎる上に、上(頭の重さ)からも下(背中の歪み)からも、24時間体制で過酷な労働(タスク)が降ってくる。
姿勢が崩れれば「おい支えろ」と言われ、
スマホを凝視すれば「頭が落ちないようにキープしろ」と命じられ、
ストレスが溜まれば自律神経の乱れに巻き込まれ、
夜眠ればあごの食いしばりの連帯責任まで負わされる。
労働環境が劣悪すぎる、哀しき中間管理職。それが僧帽筋だ。
そりゃあ鉄板化して怒り狂うのも無理はない。注射という名の水分補給(リリース)が必要なわけである。
鮭ばりの執念で戻ってくる、ヤツの「帰省本能」
ただし、ここだけは冷静に現実を見ておかねばならない。
「注射を打てば、20年来の肩こりが未来永劫消滅する!」なんていう魔法の杖ではないということだ。少なくとも私の場合はそうだった。
たしかに打った直後はウソみたいに楽になる。
しかし、その後の日常で、相変わらずPCを丸まって叩き、スマホを貪り、育児でバタバタし、夜中に歯の残業(食いしばり)を放置していれば、ヤツ(肩こり)はまた音もなく忍び寄ってくる。
肩こりの帰省本能、ハンパないのよ。
生まれた川に命がけで戻ってくる鮭ばりの執念で、呼んでもいないのにまた双肩に居座ろうとする。
だからこそ、注射は「固まりすぎて動かなくなった防衛線を、一時的に緩めてもらうための強力なブースター」として捉えるのが正解だな、と思った。緩んだ隙に、日頃の姿勢や睡眠、夜間の血糖値といった本丸の改善を進めるための、時間稼ぎのカードなのだ。
肩こりの皮を被った「別の刺客」に気をつけろ
最後に、これは全ブロッカー・全同志の皆様へ向けた、シリーズ最大の予防線(お約束)である。
今回ご紹介したトリガーポイント注射やハイドロリリースは、あくまで医療行為であり、誰にでも効く万能薬ではない。注射そのものが苦手な人もいれば、痛みの原因が筋肉ではなく、首の骨や神経、あるいは全く別の内科的なトラブルに隠れている場合もある。
肩こりの顔をして、裏で別の刺客(重大な病気)が変装して潜んでいるケースは本当に怖い。
⚠️ メディカルチェックリスト
もし、あなたを襲うその痛みに、以下のような異変がひとつでも混ざっているなら、自己判断でマッサージやストレッチを頑張る前に、マッハで医療機関(整形外科や脳神経外科など)へ相談してね。
- 手や腕にピリピリとしたしびれがある、力が入らない
- バットで殴られたような強い頭痛、めまい、激しい吐き気
- ろれつが回らない、今までに経験したことがない異常な激痛
- 発熱や、気づいたら体重が減っているなどの随伴症状
まとめ:根性で耐えるのをやめて、使えるカードは全部切る
最初は「肩に塩水って何事!?」と大いにツッコミを入れたけれど、医療の選択肢として「整形外科で相談できるカード」を1枚持てたことは、私の人生においてめちゃくちゃ大きな救いになった。
我慢しなくていい。笑われる筋合いもない。生活が止まるほど辛いなら、現代医療の力を借りて、一回そのガチガチの防衛線をユルユルに緩めてもらっていいのだ。
一発で全てが治る魔法ではないけれど、自分の体を理解し、労わるための心強い味方になってくれるはず。
さて、これまで全5回にわたって、我が双肩を巡る大冒険(ラスボス討伐シリーズ)をお届けしてきたけれど、いかがだったでしょうか。
肩こりとは、肩だけの問題ではない。全身の配線が複雑に絡み合った、壮大なハーモニーなのだ。
それでは同志の皆様、今夜も寝る前はあごと足指の力を抜いて、余計な夜勤(食いしばり)は全部突っぱねて、ネコのように丸くなって休みましょう。
📚 今回の脳内参考データ
- 日本整形外科学会「肩こり」
- Suarez-Ramos C. et al. Effectiveness of ultrasound guided interfascial hydrodissection with the use of saline anesthetic solution for myofascial pain syndrome of the upper trapezius. Frontiers in Rehabilitation Sciences, 2023.
- Anwar N. et al. Current advances in the treatment of myofascial pain syndrome with trigger point injections. 2024.


コメント